大黒屋光太夫はなぜ露皇帝に会ったのか

 今年最初の名古屋市民大学講座を受講。題目は「大黒屋光太夫はなぜエカテリーナ2世に会ったのか」。

 光太夫は1782年、神昌丸(乗組員17名)の船頭として江戸へ向かう途中、嵐にあい約7か月間漂流。アラスカ近くのアリューシャン列島アムチトカ島で4年間暮らした後、帰国のためロシア各地を回り帰国嘆願するも認められず、当時のロシア皇帝エカチェリーナ2世に拝謁し、許可を得た。

 1792年ラクスマン使節団に光太夫は同行して根室に入港し帰国をはたした(乗組員17名の内帰国できたのは3名のみ)。翌年光太夫は日本側に引き渡された後、当時の将軍徳川家斉に謁見し、日本との通商に関するロシアの希望を伝えた。その希望は実現しなかったが、日本にとってはそれまで謎の国だったロシアについて知識を大きく増進させた。

 ただ光太夫はロシアや西洋を体験して帰国したが、鎖国をしていた江戸幕府によって監禁され里帰りもできなかった悲劇の人と考えられていた。しかし1986年8月、地元鈴鹿市の倉庫から江戸時代の里帰りの史料が見つかり、伊勢神宮に参拝していたことも分かった。

 帰国後の光太夫を紹介する場所は2005年11月、同人の故郷鈴鹿市に大黒屋光太夫記念館が開館している。同所は近鉄電車「伊勢若松駅」から徒歩約15分。

  講師 皇學館大学名誉教授 深草正博

   参考文献 「おろしあ国酔夢譚」「大黒   屋光太夫(上下)」「漂民御覧之記」「北槎聞略」等

 

EU離脱とイギリス政治

  ナゴヤ・シティ・カレッジ講座でイギリス国民や政党がEUから離脱する際の国民投票に対する投票行動や主張などについて受講した。

 2016年国民投票結果について一連の行動を事前の世論調査、地域的分断、政党内での対立、離脱派の主張(移民も英国人も差がないため移民を制限する。EUから偉大な英国・主権を取り戻す。英国はEUに週約450億円も拠出していると正確さよりも過大でインパクトのあるように訴えたことなど)、投票行動(性別、年齢、階層、支持政党、所得、学歴、650選挙区別)等の分析により説明を受けた。

 離脱派の階層はブルーカラー・労働者・貧困層、支持政党は保守党、イギリス独立党。ただ政党間対立というより政党内対立で二大政党間(保守党、労働党)の競争では決着がつかなかった。

 他には従来の政党間対立、EU国民投票後の政党対立、2019年総選挙結果、選挙区ごとの変化、ジョンソン首相、ジョンソン首相退任後、有権者が最も重視する争点(経済)等の説明があった。

  最後に現在の政党支持率は保守党25%、労働党48%(2022年11月)。政権支持率スナク首相支持11%、不支持69%(2022年11月)であり、次の総選挙は労働党への政権交代か?

             講師:近藤康史 名古屋大学大学院教授

ナゴヤ・シティ・カレッジ講座を受講

 名古屋市選挙管理委員会等主催による演題「政治の現在を考える(世界、日本)」を受講し、一段と政治・選挙についての関心、知識を高めたいと思ったので講座の一部を紹介する。

 2020年代アメリカ大統領選における混乱、ミャンマーの軍事クーデター、ロシアのウクライナへの軍事侵攻、安倍元首相銃撃殺害事件が発生している。これらの事件はこれまで、確立したと思われてきた政治基盤「国内・国際秩序の原理・原則」の否定や解体が行われ始めている(権威主義者が自らルールをつくる)。

 オルテガ・イ・ガセット(スペイン)は「・・自由民主主義は、敵との共存(敵を等しく扱うことを決断する)、そればかりか弱い敵との共存の決意を表明する。」と書いている。

   現在、従来の対立や紛争ではなく、共通基盤(政治基盤)への攻撃が始まってきている。民主主義的制度を暴力的に攻撃する勢力にどのように対応するのか?。これには特効薬はない。しかし、民主主義的共通基盤の再確認が必要である。

 新たな紛争形態に対応する明快な処方箋は存在しない。まず多面的に情報を収集しながら、困難な問題に対して考え続け、議論して結論を出すことが重要である。

 

中国にとっての民主主義とは何か?

 愛知学院大学公開講座「民主主義とは何かをもう一度考える」の第3回を受講。

 習近平国家主席は中国を民主主義と位置づけ、欧米諸国の議会制民主主義を「人民が投票の時だけ呼び覚まされる」ものに過ぎないと痛烈に批判する。

 習近平氏が定義する民主主義は人民(労働者・農民等)が「法律に従う」こと。人民は法律の制定のために「討論」することはできない。人民に必要な法律は党(前衛党・共産党)が一方的に制定する。

 また民主主義の本質についてナチスドイツを正当化した政治学カール・シュミット(独)と同じく「同質性」に置き、異質なるものを排除し、自らに対する国民の喝采を重視する。具体的には習近平思想を党規約に盛り込むなどして個人崇拝を推進する。

 だた今日の中国共産党は前衛党とは言えない(2002年民間企業家の入党を認め、今日ホワイトカラーが主流となる)。今日の中国共産党は有徳にして博識な「士大夫(バックボーンは儒教である)」の集団と化している。

 毛沢東の独裁政治の後、改革派(胡耀邦趙紫陽両総書記)が伸長したが、『習近平氏の独裁政治後、改革派が復権する可能性がある。1960年代生まれの指導者層は80年代後半の民主化運動からなにがしかの影響を受けていると見られる(経済が発展すれば)。

 

 

日本の政治は変わったか?変わるのか?

 見出しの講座を受講して

 有権者の意識と投票行動をとおして日本の民主主義について考えると民主主義のポイントは「政府の機能」「政治参加」「政治文化・市民の自由」の3項目である。

 しかし日本は「政治参加」の項目で低評価である。理由は投票率が低くく、女性の大臣が少ないこと等である。

          英国・Economist

 日本での投票率の低下は政治不信によるものである。それは55年体制崩壊(1993年〜):自民分裂・非自民連立→与党不信や、政党の離合集散→政党不信、政治システム不信。2009年〜民主党政権による与党不信や、与党分裂・第3極等政党不信である。

 1993年、2009年以降の政治不信はおなじである。つまり与党、与野党・新党、全てダメによる投票率の低下である。

 今後投票に影響を与えるのは、選挙における争点であり、特に支持なし層への影響が大である。では何が争点か。「有権者に興味があるか」「選択肢があるかどうか(過去の消費税、郵政民営化)」などである。この「何が争点か」が争点であり、今の野党は与党に対立争点を示さなければならない。

 なお、無党派層には「無関心層」1/3と選挙に行く「積極的無党派層」がある。

      

 

 

「権威主義化する民主主義」講座を受講

 現在の米中対立時代は、まさに「トゥキディデスの罠(米国政治学者 アリソン)」の時代ではないか。従来の覇権国・米国と台頭する新興国・中国が、戦争が不可避な状態にまで衝突する危険性がある。(過去500年の覇権争い16件のうち12件、75%が戦争に至っている。)

   民主主義が権威主義化する中、民主主義の課題と可能性を理解し、良い方向に活かす努力が必要である。

 国際協調のためには民主主義の「制度」ではなく、民主主義の「理念」である自由・平等・透明性・熟議民主主義や少数派への配慮を捉え直す努力が必要である。

   講演 大学講師 大澤 傑(元防衛省防衛大学   校総合安全保障研究所 研究員)

退職者の経験談(2)・個人情報Q&A

 自分が個人情報に関する警備員教育で役に立った資料は、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A 平成29年2月16日 個人情報保護委員会 です。

 例えば、

問 防犯カメラやビデオカメラなどで記録され

  た映像情報は、本人が判別できる映像であ

  れば個人情報データベース等に該当するか

答 本人が判別できる映像であれば個人情報に

  該当するが、特定の個人に係る映像情報に

  ついて検索できない場合は個人データベー

  ス等には該当しないと解される

など具体的な問題を幅広く問答形式で作成しており、教育に携わる者は一度目を通しておくと

実務の参考になると思います。